FRP製軽量バケットシートの利用方法(OLYMPOS TIP-M-001-1)

【目次】

0.注意事項

1.はじめに

2.カットと仕上げ

3.フレームへの取付け

4.パッドによる調整

3.フレームへの取り付け

取り付け方法は主に機体構造に左右され、また材料や設計者の好みによっても数多くの方法が考えられるため、特に標準的な手法というものはありません。しかしできれば取り付け部は両サイドに寄せて下さい。たとえば外周部に沿うようにパイプなどの構造物があれば最も理想的に固定できます。おおざっぱにはハンモックのイメージで考えて下さい。具体的に言えばキール構造の機体よりもスペースフレーム構造の機体の方がより理想に近い形で取り付けられるはずです。

しかし現実にはいろいろと妥協を迫られるのが常です。そこで、注意すべき工法と対処の例を挙げ、その中で具体的な取り付けの方法にも触れていきます。


〈リベットの利用は慎重に〉

FRPは穴開け加工が不向きでまたその穴にリベットやボルトを通す構造ではあまり大きな力を負担できません。どうしても少ない本数のボルトやリベットで取り付けねばならない場合は追加積層して穴の周囲の板厚を広範囲に増さねばなりません。この本数があまりにも少ないと必要な板厚がグッと増し、当然重量もかさむことになります。ですからリベットを利用する時は穴ひとつあたりの負担を軽減するためにたくさんのリベットを打つ必要があります。

ところがシートは曲面なのに、取り付け部やブラケットは普通平たいため、複数のリベットを打つとシートが無理に変形して白化が発生してしまいます。

リベットを利用してブラケットを取り付ける時は以下の工程を踏んで下さい。

1) まずブラケットを取り付ける部分を広めに#180〜#240のサンドペーパーでザッと荒しておきます。更にアセトンやシンナーで油分と汚れを落としておきます。

2) エポキシ樹脂(硬化時間の長いエポキシ接着剤でもよい)にきざんだ綿かガラスマイクロバルーンを混ぜ込んで流動性の無い硬めのパテを作ります。

3) このパテをブラケットを付ける面に塗布し、やはり予め接着面を脱脂しておいたブラケットを押しつけます。この時、シートとブラケットの接点に予め一箇所だけ下穴を開けておき、そこにリベットを一本打って仮止めとすればブラケットの位置が定まり便利です。はみ出した余分のパテをブラケットの周辺が滑らかになるようにぬぐい取ります。

4) 硬化したら必要数だけ穴を開け、リベットを打ちますがこの時リベットのフランジ(傘)がシート側になるようにします。座った時に痛くないだけでなく、リベットの締め付け力がフランジ面に分散しFRP板に白化が発生するのを防ぎます。できれば幅広フランジのリベットを利用してください。アルミワッシャをリベットの首にはめておくのも有効です。


またリベットの首丈も長すぎたり短すぎたりしないように注意してください。締め付け板厚が一定ではないためリベットの首丈を2種類ぐらい用意する必要があるかもしれません。
Fig.5
Fig.5

〈座面を集中的に固定するのはトラブルのもとです〉

『FRP製軽量バケットシート』はパイロットの発生する荷重(体重やペダリング反力)を分散して受けとめることで安定感と軽量さを実現していますから、座面の局所、局所の強度はそこだけで全荷重を負担できるほどの強度はありません。

 しかしコクピットの構造がセンタキール方式の場合などにはどうしても座面の中央付近でしか支持できないことがあります。このような場合でも接点だけを直接接着したり、ブラケットをリベット止めしたりと小さい面積で集中的に固定するのは絶対に避けてください。安定が悪いだけでなく破壊の心配があります。


このような時はシートの縦方向に、ある程度距離を確保して(Fig.6)尚かつできるだけ広い面でピッタリと合う支持台を作ります。この台は2点に分けてもかまいません。この材料は重量と加工性、接着性の良さから木材が適当でしょう。仮合わせをしてみてすき間のできそうな所には発泡プラスチックを詰め込んでザッと整形しエポキシ樹脂で接着します。 Fig.6
Fig.6

多少重量は食いますが、スポンジ(食器洗い用で可)にエポキシ樹脂を含ませ軽く絞ったものを支持台とシートの間にはさんで硬化するまで押しつけておけば簡単にすき間無く広い面積で固定できます。押しつけておくには砂袋かあるいは10kg程度の袋入りのお米などをシートに座らせておけばよいでしょう。

もっと簡易的には1cm厚程度の軟質ウレタンラバーを絨毯用の厚手の両面テープで支持台とシートの間のすき間になりそうな所に貼り付けて、シート自体も両面テープで貼り付ける方法もあります。図示(Fig.2)したような固定方法によっても実際に搭乗して行なうモックアップ上での検討やテスト運用に対しては十分に機能します。


〈この機会に発泡ウレタン フォームを利用してみる〉

発泡ウレタン フォーム(20倍程度の硬質)はFRPを基本とする工作にはなかなか便利な材料です。ここではアルミやカーボンのパイプを使った実例の多いセンタキール構造へ取り付ける方法(Fig7)について概略を説明します。

1) まずシートの裏側の加工部分をサンドペーパーとアセトンでクリーニングします。

2) 2液混合タイプの発泡ウレタンフォームを加工部に適量垂らして発泡、硬化を待ちます。

3) ウレタンフォームが硬化したらノコ、フォーマ、ヤスリ、サンドペーパー等でなだらかに整形します。キールパイプとの接触部分はそのパイプと同じ径のパイプにサンドペーパー(#40〜#60)を貼ったものを利用するか実際のキールパイプにサンドペーパーを貼ってゴシゴシと削り込んで整形します。
Fig.7
Fig.7

4) ウレタンフォームの削りくずをよく払い落としてからこのウレタンフォームを周囲5cm位までFRPで完全にカバーます。ガラスクロスは200g/uのものを3層程度が適当でしょう。樹脂はエポキシを使用して下さい。パイプをくわえる窪みはガラスクロスが沿いにくいので、ポリエチレンシート(ゴミ袋や  スーパーの買物袋で可)を全体に被せ、その上から仮のパイプを押しつけておきます。更にポリエチレンシートの周囲をテープ(めったに近所では買えませんが、この種の用途専用にマスチックテープという製品があります。)でふさぎ、空気を追い出すと全体にピッタリと沿わすことができます。

5) 硬化したらポリエチレンシートを剥し、全体のバリをサンドペーパーで落として完成です。

6) 機体への取り付けは支持部をそのまま接着してしまうのが安易ですが、もしブラケットを工夫すれば完成後も取り外しと調整が可能になるでしょう。後は重量と労力との相談です。


以上はFRP関係の工作ではかなりポピュラーなものです。FRP製品を部分的にリブを立てることにより補強したい時などに同じ手法が使えます。一見複雑で難しそうに思えますが、一度やってみるとけっこう容易でしかも効果的なことに驚くことと思います。特に乗り物を自作する方にとっては実に応用範囲の広い工法です。

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