先翼機の縦安定計算と模型による検証



 今回の育英高専の鳥コン機は先尾翼機です。(左写真)

 先尾翼機の縦の安定は、重心MAC25%や適正水平尾翼ボリュームなど通常型機に特化した標準がそのまま適用できないので混乱しがちです。しかし安定の原則は通常形式の機体と何ら違いがありません。先尾翼機も通常型機と全く同様に、安定して飛ばすことができます。

 縦安定度の計算を行って安定度が適当になるような重心位置を求め、模型を作って実証してみました。



【縦安定の計算と重心位置の設定】

 先翼機に働く揚力・モーメントは、下図の通りです。(ただし先翼の空力中心まわりのモーメント:Cmacは無視しています)


各重心位置毎に、ある主翼迎角で重心まわりに働くモーメントを計算し、それを無次元化したものをプロットすると、下図のようになります。図を見ると、重心位置がh=0.161の時、どの迎角の時でも全機モーメント係数Cmgは0(安定中性点)、それより前方の時は右下がりの直線(縦の静安定+)、後方では右上がり(縦の静安定‐)になることが分かります。鳥コン機の実例から静安定度Cmgα(=dCmg/dα)は-0.006ぐらいが適当と考え、今回は重心位置をh=0.22に設定します。

(縦安定に関する詳細は通称”赤本”などを参照してください)


【模型の製作】

 今回の模型は、設定した重心位置で安定して飛ぶことだけを手っ取り早く確認するものです。詳細は改めて述べますが、縦の静安定度だけは縮小模型でも比較的正確に再現することが知られています。スケールは、小さすぎるとレイノルズ数による影響が大きくなりすぎるので、ルートコードが50mm程度になる値(1/15)にしました。さっと作りたいので,主翼、垂直尾翼はバルサ単板から削り出し、胴体はヒノキ棒です。機体姿勢を見やすくするため、翼の上面と下面は違う色にしています。
 この実験では滑空性能や失速特性を推測することはできません。より精度の高い検証のためには、次の段階で1/5スケール以上の模型実験が必要です。

先翼は、最初ただの平板でしたが、最大揚力係数が小さすぎたため、キャンバーの大きなものに作り変えました。取付角を簡単に変えられるように、小ねじをピボットにしています。
ラダーの角度を調整できるように、ヒンジを埋め込んでいます。
真ちゅう板で作りましたが、アルミ缶などから切り出してもOKです。
胴体側面には、MAC前縁(写真のLE)、MAC後縁(TE)、および重心位置(20%、30%)を書いておき、重心位置を調整する際の目安にします。
翼面荷重は、このぐらいが実験にはちょうど良いようです。



【模型のフライト】

 上の模型の重心位置を、先に設定した位置(h=0.22)より前方(h=0.25〜0.30)になるように調整して(フリーで飛ばすため、実機より安定を強めにする)、実際に飛ばしてみました。下の動画がその時の様子です。

・直線滑空 (→ビデオ

 最初の速度がやや遅く、トリム速度になるまで突っ込んでいますが、その後は安定して飛んでいることが分かります。


・旋回 (→ビデオ

 ラダーを少し切って旋回させたところ。だんだんとバンクが深くなり、スパイラル傾向ぎみであることが分かります。


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