ずいぶん以前の事です。『鳥人間コンテスト』に参加を計画していたチームの設計担当の方から「アルミ合金を構造材に使えないだろうか?」という質問を受けたことがあります。それに対し「十分解答がある。但し設計の知識は必要です。」と回答したように覚えています。「何が一番優れた材料か?」あるいは「カーボンパイプは高価で手が出ない。代替の材料はないのか?」という話は、長年言われてきた疑問です。
手っ取り早く言えば、CF(カーボンファイバー)は総合的に見て最も優れた材料です。但しあくまで材料として優れているのであって、使いかた次第で結果は大きく変わります。何より繊維は力を受ける方向に沿わすのが基本ですが、この点、市販のCFパイプはカーボン繊維をマンドレル(芯金)に巻いて成形しますから、繊維は全てパイプの軸線に対して斜めになっています。これは、曲げに対しては極めて不合理な繊維構成です。しかも、多くの例でパイプの直径が小さすぎ、曲げ応力が無用に大きくなっています。結論として、市販のCFパイプは翼桁用途にはカーボンの特徴を生かせない重くて弱いパイプです。
ベテランチームがカーボンパイプを自作するのは、荷重に対してより合理的な繊維構成にできるからです。しかし実は“丸パイプ”も多くはただの習慣で、考えればもっと良い解答はあります。軽い桁を得るには、桁の高さを十分に確保し、曲げ応力の大きい桁の上下縁にだけ、それに見合う材料を配し、ウェブにはずっと薄い板を使うのが定石です。
冒頭、アルミ合金で翼桁を作る話題を出しましたが、実際のところ飛行機用材として代表的なカーボンコンポジット、ジュラルミン、スプルースは“比強度(強度/重量)”の観点から大差ないと言えます。どの材料を使っても構造設計力の優劣に隠れてしまう程度の違いしかありません。(*註)『鳥コン』の滑空機部門の最高記録が木製機によって達成されている事実は、ぜひ真剣に考えてみるべきでしょう。
(*註 以前も書きましたが、やり切れるならカーボンコンポジットは無敵の軽さを実現します、が・・・)

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